タダほどコワイものはない

「無料」という言葉に、スグに引っかかる人がいます。「本体無料!」の魅力的なコピーに騙されて携帯を買い、結果的にそれ以上の総額費用を払ってしまって後悔するような…。

十数年前に私が以前の塾を経営していた頃、生徒数が140名ほどのある分教室での出来事。近くに新しい塾が進出し、大量のチラシを投下。そのキャッチコピーは、「無料、無料、とにかく無料…」みたいな、品のない内容だったのですが、その地域(三田ではありません)の人々が多数引っかかり、短期間で200人超の生徒を集めたそうです。そして、悲しいことに私の教室からも中1・2生が計4名転塾していきました。他塾に比べて転塾者は各段少数でしたが、当時の私は心底悔しくて、その4名を受験まで追跡。結果、誰も志望校に合格しなかった。私は、辛くて悲しくて何日も眠れませんでした。その塾は現存しますが、当時の勢いはなく、縮小しています。

また約10年前、東海地方の大手塾が全国展開し、塾業界で話題になったことがあります。ここも巨大チラシに、「ゼロ円」のオンパレード。やはり一時は生徒が集まりましたが、合格率が低く、今は見る影もありません。

塾はディスカウントショップではありません。私たちのモットーは、「今いる生徒を大切にすること」。地域に密着してまじめにコツコツと生徒指導に取り組む、「良識のある進学塾」として、決してこの地を離れることなく歩んでまいります。今年の冬期講習は、「熱い対面授業」。全身全霊でサポートさせていただきます。

志望校選びの大きな〝過ち〟

以前にお話しした内容ですが、あえてもう一度。いよいよ志望校選定の時期。この間面談で、「うちの子はプレッシャーに弱いから、無理して上の学校へ入ってギリギリでいるより、ランクを下げて上位の成績で行かせた方がよい」というお声をよく耳にします。実はこれがとんでもなく大きな〝過ち〟。仮に受験時の偏差値が変わらない2校でも、卒業時の進学先で大きな「違い」が生まれるケースがたいへん多いのが事実です。

中学と高校の学習は異なりますので、入試でギリギリの成績で入った生徒が、ずっと下位の成績という例はあまりありません。よほどでない限り、入学時には多くの生徒のレベルが一旦スタートラインに並びます。ボーダーの成績で入った生徒が、高3時にトップレベルになっていることも、珍しくありません。逆に、ランクを下げて余裕で入っても、気がつけば中以下というケースも多々あります。トップの高校と2番手校の主要大学合格者数には大きな隔たりがあります。少し努力すれば合格できる高校を避けて安全圏を選ぶことは、大きな「ボタンの掛け違い」だと思います。

決して現実的にはならず、高い目標に向けて努力する姿勢こそが、受験のみならず、将来社会人としても必ず成功に直結します。「目標は少しでも高く!」。みなさんの成功を祈っています!

優しさを大切にしたい・・・

突然ですが、問題です! 「学習塾」・「病院」・「ビジネスホテル」の共通点って何かわかりますか? …難しいですよね。答えは、いずれも『弱者ビジネス』という点です。

弱者ビジネスというのは、「できれば利用したくないけれど、仕方なしに利用する」という類のお仕事。たとえば、「行きたくないけれど、歯が痛いので仕方なしに行く歯医者」や「出張の仕事が終わって家に帰りたいけど、最終に間に合わないので仕方なく泊まるビジネスホテル」などが挙げられます。

学習塾も同様に弱者ビジネスです。「自力で学習して志望校に合格したいけれど、それができないので、高い学費を払って仕方なしに塾に通う」。これらを、『必要悪』などと罵る人もいますが、ここ数十年の努力によって、塾も病院もビジネスホテルも、殺風景な施設から、心安らぐ温かい空間へと、大きく変貌しました。

塾を頼りにして、通っていただける方々の多くは、「何としても合格させたい」、「成績を上げたい」といった、みなさん切実な思いをもっています。ですから私たちは、そんなみなさんの思いを真摯に受けとめ、添い遂げることのできる、『優しさを大切にする教育サービス』をしっかりと実践していきたいと考えています。

『がくりょく』をつける

ご家庭でぜひお子様にしてあげてほしいこと。それは『がくりょく』をつける、ということです。「塾が何を今さら」と思われるかも? 私が申し上げたいのは『学力』ではなく『顎力』、つまり「アゴの力」なのです。「最近の子どもは頑張りがきかない」とよく言われますが、「頑張れない」、つまり歯を食いしばって我慢することができずすぐに諦めてしまう。この原因に、ピザやハンバーグ・スパゲティなどの柔らかい食べ物ばかりを口にして育つために、アゴの力が発達しない。だから、学習も粘り強く頑張ることができない…というのがあるようです。

たとえば、公教育などでマスコミを騒がせたワードを時代別に並べてみると、『不登校』、『いじめ』、『キレる』、『恐喝』、そしてたまに『殺傷事件』など、どんどんエスカレートしていくのが懸念されますが、これらの社会問題はすべて子どもたちの『顎力』つまり『我慢する力』の欠乏に負うものではないでしょうか? 昔の子どもは平気で1分間以上は息を止めることができたのに、今では30~40秒続く子どもすらあまりいない、というのが実状です。体格は明らかに良くなっているのに、まさに『顎力』が低下している証拠だと考えられます。たまには、フランスパンや、堅焼煎餅・チャイナマーブルなどをかじってみるのもいいのではないでしょうか?

親から子への「声かけ変換表」

ある小児科の先生が作った、親から子への「声かけ変換表」をご紹介します。

①いいかげんにしろ!⇒あと何分で終わる?

②ちょっと待って!⇒あと○分待って

③うるさい!⇒声を「これくらい」にして

④走るな!⇒歩こうね

⑤危ない!⇒止まってね

⑥早くしなさい!⇒○分で終わればスゴイ

⑦早くお風呂を出なさい!⇒夕飯は唐揚げだよ

⑧だから言ったでしょ!⇒どうすればよかった?

⑨何度言ったら分かる!⇒どうしたら良い?

⑩拾って!⇒逃げちゃった~

⑪あ~あ、もう!⇒拭けば大丈夫だよ(対処法を)

⑫いつになったらやるの?⇒何時からやる予定?

⑬もう帰るよ!⇒あと10秒待ってるね

⑭やめなさい!⇒やめられたね

⑮痛くないよ⇒痛かったよね(共感する)

⑯そんなこと言うな!⇒イヤなんだね

⑰もう知らない!⇒どうすればいいか教えて

⑱迷惑だからやめろ!⇒(迷惑の具体的な理由で諭す)

⑲コラぁ!(爆発)⇒(事前に)今、堪忍袋2つ目だぞ!(コミカルに)

⑳何やってるの!⇒大物だね~!

コロナや水害など。相変わらず暗いニュースが多い中で、家の中が明るくなるような、温かい言葉ですよね。

私も人の親として、参考にしていきたいと思います。

コロナが残した教育の明暗

新型コロナの影響で、子どもたちの学習環境が激変しました。休校中に何もしなかった生徒と、自らしっかり計画を立てて、毎日コツコツと学習に取り組んだ生徒。先日、高1の塾生との会話で、「先生、この3か月で1年間の学校内容が全部終わりました。」みたいなやり取りがあり、映像授業のメリットを感じたのですが、塾に来ていない生徒の休校中の学習は、「永遠のゼロ」。毎日が「スマホに明け暮れる」のご様子だそうです。

感染の危機が終息を迎えた後に訪れるもの。それは教育のアンバランス化から生まれる極端な〝学力の二極化〟で、「新しい生活様式」の中で、このような学力格差は、確実に拡がっていくと、私たちは考えています。高校生が、近々迎える大学受験は大きく荒れて、現役合格できない生徒が大幅に増加。小・中学生も数年後に同様の事態を迎えます。さらに、20年~30年後。社会人になってからも、その後遺症で社会的ステータスの格差も大きく拡がってしまいます。

「いま、何をすべきか。どうあるべきか?」。その道を見誤ると、一生取り返しのつかない、最低最悪の事態を招きかねません。だから私たちは、そんな子どもたちのために立ち上がります。彼らの「夢と希望」を、絶対に失わせたくないから…。

「オンライン指導」に必要なものとは…

当学院では、4月7日の緊急事態宣言に基づく分散通塾と一部オンライン指導を実施。さらにその後の県知事からの学習塾休業要請を受けて14日からは教室を閉鎖し、全面オンライン授業体制を進めてまいりました。開始前は、ご家庭のネット環境の整備状況が不安材料でしたが、大きな障害もなくスタートでき、感謝いたしております。

この通信が発行される頃、どのような感染状況になっているかは不明ですが、少なくとも完全終息に至る状態ではないと思われますので、子どもたちの安全確保のために、今しばらくこのスタイルを続ける見込みです。

この間、人生初のリモート指導を行って感じたのは、「オンライン授業は技術面やカッコよさでなく〝温かさ〟と〝面倒見の良さ〟が最も大切な要素である」ということ。私たちは、見た目や技術力のみにこだわった浅薄なオンライン授業を行わず、教室での対面授業と何ら変わらない、「子どもたちに寄り添う、双方向の温かい授業」を粛々と実行したいと強く心に誓っています。双方向の質問対応はもちろん、Classroomによる課題の電子配布や採点・提出なども順次活用していただきます。オンラインGAIBEN(自習室)へのご参加もお待ちしています。

まだまだ未知数な部分も多く、戸惑われるシーンも多々あろうかと存じますが、ご家庭と一緒に築き上げたいと思いますので、引き続きご協力いただけますようよろしくお願いいたします。

失敗経験のないエリートたち

国会審議のニュースなどをみていると、官僚や政治家などの稚拙な答弁に、「何でそんなアホなこと言うの?」とか、「そんな単純なことがどうしてわからんの?」などと、思わず突っ込みを入れたくなるシーンが多々あります。どのセンセイ方も、名だたる名門中高を経てT京大学などを卒業した、極めて偏差値の高い「超エリート」たち。なのに、ご存知の通りの体たらく。これは、彼らの「失敗経験の不足」に起因するものと思います。順調に人生の頂点を歩み続け、成功体験を重ねるだけでは決して「人間力」は育まれません。

話は変わりますが、今春の高校受験では約90名の中3在籍生の内、2名を第1志望校に合格させてあげることができませんでした。悲しい事実で、私たちが大いに反省すべき経験ですが、彼らには今回の受験で、結果的に「失敗」という貴重な財産を誰よりも早く得ることができたのだと、ポジティブに捉えて再発進してくれたらうれしいです。

私個人のこれまでの人生は、「人生谷あり谷あり」で、エリート街道などとは程遠く、「失敗&大失敗」の連続。でも、「失敗は成功の母」とも言いますし、これからも、数多の失敗を経験しながら、もっともっと、人に優しくなれる〝人間力〟を鍛えていければいいなぁ…と前向きに考えています。(^^;

クレームは、貴重な宝物

「モンスターペアレント」という言葉が世の中に出て久しいが、恥ずかしながら私たちも、保護者の方からお叱りの言葉を頂戴することが年に数件。もちろん、モンスターではなく、冷静かつ丁重に、こちら側の言い分も聞いていただける姿勢で話されるのだが、正直そのご指摘内容には、かなり手厳しいケースもある。

誰しもクレームを受けるのは辛いもの。しかし、そのクレームには私たちの気付かない貴重なアドバイスが含まれていることが多い。クレームが、受ける側より出す側に大きなエネルギーが必要であることも事実である。たとえばレストランに行って、料理がまずい・店員が態度横柄・異物混入…などで嫌な思いをした時、その場でクレームを言う人間は日本ではわずか2割程度だという。つまり、8割の人は何も言わずに「もう二度とその店に行かない」という行動に出る。でもこれでは、その店のサービスは永久に改善されない。

保護者の方からお叱りの言葉を頂戴した時に、私たちは最後に必ず「ありがとうございました」をお返しすることにしている。「勇気を出して叱って頂いたおかげで、私たちはさらに成長できる」ことへの感謝の証として。そして、その人たちとの絆はさらに深まる。だからこそ、『クレームは貴重な宝物』なのである。

”プログラミング”の本当の意味

特進館学院は、人間力を育てる進学塾でありたいと考えています。物事を冷静に分析し、正しく判断する「意思決定能力」。円滑にコミュニケーションを行い、人を動かす「コンピテンシー能力」。そして、自分の考えを明確に伝える「プレゼンテーション能力」。さらに未来を先読みして行動する「段取り能力」。加えて、「語学力とITスキル」です。

昨今、『プログラミング』という言葉が脚光を浴びています。プログラミングというと、「パソコンなどを使って、ロボットなどを動かすこと」などという風に捉えがちですが、それはあくまで狭い意味で、本来の意味は、「ゴールに到達するまでの道筋を一つひとつ予測しながら、計画的に道を歩むこと」であるということを、先日、尾木直樹氏の講演会で学びました。つまり、人間力のひとつである「段取りする力」こそが、プログラミングそのものなのです。たとえば、明日が予定のない休日だとします。愚かな人は、何の計画も立てずに夜ふかしの挙句、昼過ぎまで寝て、せっかくの休日を台無しにします。できる人は、「明日は久々の休みだから○時に起きて家事を済ませ、○○に行って○○を買い、○○さんと会って○時に帰り…」という風に、一日を最大限に活かすための計画をプログラミングして行動します。その後の両者の、充実度の違いは歴然ですよね。