セレンディピティ【代表北村の教育ちょこっとコラム】

「禍福はあざなえる縄のごとし」ということわざがあります。「幸せと不幸せは表裏一体で、縄の目のように交代でやって来る」という意味ですが、果たして本当にそうでしょうか? むしろ、幸せな人はいつも幸せで、不幸な人は常に不幸に苦しんでいることが世の中多いのでは、と感じることがよくあります。
『セレンディピティ』という言葉をご存じですか? 辞書には、「珍しい宝を発見する力」、「幸運を引き寄せる能力」とあります。つまり、幸運にめぐり合うのは単なる偶然ではなく、その人の「能力」であるという考え方です。
ある製薬会社の研究員が、3つの班に分かれて「新薬D」を開発するための実験を行っていました。テーマは、「AとBを混ぜて、まずCを作る」というもの。結果は1班が成功で、2班・3班は失敗。ところが、失敗した2班は暗い顔で沈んでいるのに、3班は嬉しそうな表情。不思議に思った教授が、3班のメンバーになぜ笑っているのか尋ねたところ、「Cにならなかった液体を、さらに調べてみたら、なんと新薬Dだった」とのこと。
目先の失敗で凹まずに、プラス志向で調べた結果の大成功。これが、幸運を呼び寄せる「セレンディピティ」なのです。日本のノーベル賞科学者の多くも、このような失敗を山ほど経て、偉大な発見にたどり着いているといいます。ちなみに、念のため後で調べたら、失敗した2班にも新薬Dができていたそうです…。