『アグロエコロジー』という考え方【代表北村の教育ちょこっとコラム】

今回は、農業についての話です。ある学者の論文に、「リンゴの葉を食い荒らす害虫は、葉を食べるので顔つきは優しく、その害虫を食べる益虫はガラの悪い顔つきをしている」という一節があって、思わず吹き出しました。
コーヒー栽培地として有名な中南米やアフリカの国々には、コーヒーの木の実を食いつくす甲虫の「コーヒーノミキクイムシ」という害虫が多くいて、被害の多い年には、全世界のコーヒー豆が80%も減少したそうです。農業の歴史は、このような害虫との闘いだったのですね。
コーヒーの実を襲う厄介者に、「コナカイガラムシ」という虫もいるそうですが、実はこの虫がいると、さらに恐ろしい、コーヒー豆を全滅に追い込む「コーヒーさび菌」という病原菌が繁殖しないので、農家の人々はコナカイガラムシをあえて駆除せずに、多少の被害を考慮に入れた上で、収益を生み出す工夫を行っているようです。少しの被害を計算に入れて、大きな被害を防ぐ。これが『アグロエコロジー』という、農業の新しい考え方だそうです。
テストであまり点数が取れない生徒の特徴に、「すべての問題に手を出してしまう」という共通点があります。そのおかげで時間に追われて、できる問題までできなくなってしまうのは本当に愚かなこと。時には思い切って、「できない問題は捨てる」勇気も、受験生にとっては必要なのかもしれません。